琵琶湖とその水辺景観-祈りと暮らしの水遺産
古来より穢れを除き、病を癒すものとして祀られてきた水。
その水を豊かに湛える瑠璃色に輝く琵琶湖の周辺では、「水の浄土」の教主・薬師如来が広く信仰され、琵琶湖にのぞんで建立された寺社は、今日も多くの人々の信仰を集めています。
また、琵琶湖とともに育まれた暮らしのなかには、日常の生活に山からの水や湧き水を使いながら、水を汚さない「暮らしの文化」が、現在もなお伝わっています
さらに、湖辺の集落や湖中の島では、米と魚を活用した鮒ずしなどの独自の食文化や、エリなどの伝統的な漁法が育まれてきました。
古くから芸術や庭園の題材に取り上げられてきた琵琶湖とその水辺は、多くの生き物を育むとともに、近年では、水と人の営みが調和した文化的景観として多くの現代人を惹きつけて止みません。
ここ滋賀には、日本人の高度な「水の文化」の歴史が集積されているのです。
日本には世界に誇る「たから」がたくさんあります。
文化庁では、この歴史的魅力に溢れる地域の「たから」たちをさらに磨き上げるべく、我が国の文化・伝統を語るストーリーを「日本遺産」に認定し、国内に、そして世界に発信していく事業が今年度、創設されました。
滋賀県と大津市・彦根市・近江八幡市・高島市・東近江市・米原市が申請した「琵琶湖とその水辺景観 ― 祈りと暮らしの水遺産」は、平成27年度に文化庁に「日本遺産」として認定されました。